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コラム:業界情報 投稿日:2026-07-03
アパレル業界最新情報|麻素材・プリーツ・ナチュラル系が2026年夏の注目トレンド!

アパレル市場に復調の兆し
「インバウンド効果とリアル回帰で大手企業が黒字転換──」
 経済メディアや業界紙の紙面には、今日もこのような景気のよい言葉が躍る。しかし、これらの報道に共通しているのは、肝心な定量的数字がない、あるいは隠されているということだ。
 メディアが「新事業が大きく拡大」と大々的に書き立てた記事を、実際の決算書と突き合わせてみれば、全体の売上構成比のわずか5%にすぎない。あるいは「なんと、アパレルが150億円を売り上げた」と報じられても、全店舗で割れば、1店舗当たりの売上比率は3%にも満たない。そんな実態がザラにある。前回寄稿した、「事業利益」についても、IFRSと日本基準を混同し無邪気にV字回復を謳う。こうした数字のトリックで飾られた「偽りの復活劇」の裏側で、日本の繊維、アパレル産業の足元は焦土と化している。

ArminStautBerlin/iStock

 消費者の視点に立てば、今の街の景色は奇妙に映るはずだ。

 先日、妻と代官山のプラダのポップアップショップに行った。腰が抜けるほどたまげたのは、なんと綿100%のTシャツが1枚10万円で売られている。1年前、アルマーニやマルジェラなどで5万円だったのに。

 片や、コンビニやスーパーの衣料品売場で、1000円のシャツを「高い」と感じながら財布を開く人々がいる。同じような服は、中国では2ドルで手に入る時代だ。

 かつて日本が得意とした「そこそこお洒落で、そこそこ手の届く服」を売っていた中間層向けの市場は、いまや行き場を失いつつある(これについては次回書きたいと思う)。この二極化には、私たちが考えている以上に深く、そして致命的な闇がありそうだ。

終わらないデフレマインドと「下北現象」の正体

 いま、アパレル業界が直面している矛盾は、「コストはインフレなのに、売価はデフレから抜け出せない」という構造なのだ。いや、日本の市場とは、合わなくなっていると呼んでもよい。

 過去、中間層と呼ばれた消費者の可処分所得が増えない日本において、服の値段を安易に上げれば売上は落ちる。結果として、多くのアパレル企業は「価格は据え置き、クオリティを落とすか、身を削って低利益に甘んじるかしかない」という現実に直面しているのだ。私はAI企業に移ったので、こうしたリアルな数字や実態が瞬時に見える環境にある。そして、真犯人も見えてきたわけだ。

 先日、米Bloombergに取材を受けたとき、私はこの構造を「下北現象」と呼び説明した。若者の街・下北沢を中心に広がる「古着ブーム(二次流通の爆発)」のことである。

 メディアはこれを「サステナブルな先進的消費」「レトロカルチャーの流行」と書き立てるが、実態は違うと私は思う。

 現在、二次流通に流れているのは、かつてアパレル産業が最も輝いていた「昭和・平成初期」の、質がよく頑丈につくられた服(ヴィンテージ)だ。今の若者たちは、エコだから古着を買っているのではない。現在のインフレ下で高価な新品の服に1万円を払うなら、二次流通品、古着を買う方が、遥かに合理的だと気づいているのだ。車業界で中古車が売れるように。


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